駿馬/木村大
アルバムタイトルそのままのフレッシュな作品
1・エチュード第7番(ヴィラ=ロボス)
2・エマージェンス(ヨーク)
3・バーデン・ジャズ組曲 (イルマル)
4・リフレクションズ(アンドリュー・ヨーク)
5・エチュード第6番(エイトール・ヴィラ=ロボス)
6・リブラ・ソナチネ (ローラン・ディアンス)
7・三千院 (アンドリュー・ヨーク)
8・4つのヴェネズエラ風ワルツ
木村大さんがデビューした時のCDの帯には、「みなぎる若さ、ほとばしる才能、秘められた意地、はにかんだ笑顔・・・。」とあります。演奏の内容も含めて良く出来ているなあと思いました。
その後のアルバムがこのCDです。あのキャッチとやはり基本路線は同じです。とにかく若さとそのエネルギーが伝わってきますね。
全体を通して、いろいろな方が必ず言うことなんですが、演奏のテンポが速いです。よくこのスピードで弾けるなあ、といつも思います。もちろんテクニックと言う土台の上に成り立っていることなんでしょうけれども・・・。
クラシックギターをはじめソロギターと言う演奏スタイルでは、テンポの取り方は自分次第です。当たり前ですけれど。これがバンド活動とか通じて、特にうるさくベーシストやドラマーにテンポの注文を出していたわたしにとってはスピードは良いとしても、テンポの波と言うものはものすごく気になるのです。
特にクラシックギターの場合、結構個人のそのときの感情で、テンポの揺らぎと言いますか、一定のテンポを崩す場合がありますよね。わたしの場合は弾けなくてテンポが落ちる場合が多いのですが・・・。
プロの場合は効果を狙っているんですね。
木村大さんの演奏にはそれが顕著で、わたしは結構気になります。例えばこのCDの「リブラ・ソラチネ」や「バーデンジャズ組曲」などは、確かにすごい演奏なのですが、一定のテンポから外れるところへ来ると、今まで足でテンポを取りながら聴いていても「おっと!」と言う感じになってしまうんですよね。でもこの突っ走りな感じが木村大さんの魅力のひとつでもありますね。
「4つのヴェネズエラ風ワルツ」なんかは若さだけではない部分が十分にかいま見ることが出来る演奏です。今留学中とのことらしいので、一回り大きくなって来る事を期待しています。と偉そうで恐縮ですが、それにしても速いなあ。
■この曲はマスターしたい
1曲目の「エチュード7番」。
これは有名なヴィラ=ロボスのエチュード。この木村大さんの演奏はまさに怒涛と言う感じです。この曲は結構フリーテンポなので、先ほどの話も気になりませんし・・・。と言うかこのくらいのスピードと迫力で弾ければいいな、といつも思います。多少の粗さもグルーヴのうちですからね。
6曲目の「リブラ・ソラチネ」。
若いギタリストに人気のある曲です。この演奏も怒涛です。テンポの問題はありますが、見事に弾ききっています。特に第3楽章の「フォーコ」はやはりすごいスピードですね。このスピードと迫力なら、あっけに取られているうちにエンディングと言う感じです。アクセントのつけかたなどはかなり参考になります。
8曲目「4つのヴェネズエラ風ワルツ」
この曲も普通の感じよりも速いテンポで演奏されています。でもここでの木村大さんの演奏は単に、速いだけではなく実に良い感じで表現されていると思います。この辺りが、単に上手でテクニックがあるだけと言うギタリストでは無いところなのだと想います。大変華麗な演奏です。