セゴビア・コレクション第8集 〜ソル,ジュリアーニ作品集
セゴビアさんの作品集の第8集。ソルとジュリアーニの作品集
●ソル
1.アンダンテ・ラルゴ□ニ長調op.5―5
2.グランド・ソナタ op.22~ロンド□ハ長調
3.メヌエット□ホ長調op.32―1
4.同ト長調op.3
5.同ホ長調op.11-10
6.同ハ短調op.24-1
7.同ハ長調op.5-3
8.グランド・ソナタ第2番op.25~アレグロ□ハ長調
9.同~メヌエット□ハ長調
10.同op.22~メヌエット□ハ長調
11.アンダンティ-ノ□ニ短調op.2-3
12.メヌエット□ニ長調op.11-5
13.序奏とアレグロ「グランド・ソロ」op.14
14.メヌエット□ホ長調op.15-1
15.同イ長調op.11-6
16.「魔笛」の主題による変奏曲op.9
●ジュリアーニ:
17.ソナタop.15~アレグロ・スピリトーソ□ハ長調
クラシックギターがまだクラシックの音楽として軽視されてたのをヴァイオリンやピアノと同じ地位まで引き上げ、クラシックギターと言うジャンルを確立させた第一人者がアンドレス・セゴビアさんです。
アンドレス・セゴビアさんがデビューしたときに、その音楽性と音楽センスを聴いたヴァイオリンの教授がギターからヴァイオリンへの転向を薦めたそうです。もしアンドレス・セゴビアさんが、その教授の言う通りにヴァイオリンに転向していたらと思うと・・・。良かった!
それくらい今日のクラシックギターの世界を築き上げた偉大な方なのです。
アンドレス・セゴビアさんは、かなり積極的にクラシックギターの世界を広めて行こうとしていたため、その録音も膨大な数があります。ちなみに、アンドレス・セゴビアさんの演奏をまとめた「セゴビア・コレクション」と言うシリーズは全部で16集あります。その中で今回はソル、ジュリアーニ作品集である第8集をお勧めしたいと思います。
ソルさん、ジュリアーニさんと言えば古典期の作曲家。特にソルさんはクラシックギターを弾く方にとっては必ず通る道と言えます。このCDではジュリアーニさんの作品は最後の1曲のみなので、実質的にソル作品集と言えます。
アンドレス・セゴビアさんと言えばソルの練習曲を「セゴビア版ソルの20のエチュード集」として編んだことはあまりにも有名。
アンドレス・セゴビアさんはソルさんに対して啓蒙の気持ちを持っていたみたいで録音も数多いです。しかしソルさんの作品の重要な部分である「幻想曲」「変奏曲」にはあまり手を出さず、小作品、しかもその中の第1楽章だけとかの録音が多かったみたいですね。
確かに大曲を弾いてみたいところはもちろんあります。わたしも大曲の第1楽章だけが好きで、それをレパートリーにしたいけれど、全部一応弾かないと作曲家のトータルな意味での意図に反するような気もするし・・・。 かといって全て練習するのは・・・。と言うことがあります。
それでもこのようなアンドレス・セゴビアさんの作品を聴いているとそこにこだわる必要も無いのかなと思います。
「ギターは小品を演奏するための楽器である。」
という通念もありますが、深く考えないで好きな曲を弾くことが上達への早道ですね。アンドレス・セゴビアさんによるソルさんの小曲を楽しめるCDです。お薦め。
この曲はマスターしたい
1曲目の「メヌエット ホ短調 Op.32−1」
非常に優雅で好きな曲です。このCDでのアンドレス・セゴビアさんの演奏は本当に優雅な感じで1曲目からじっくりとその世界に浸ることが出来ます。このような小曲が多いのでレパートリー探しにとてもよいCDだと思います。
13曲目の「序章とアレグロ(グラン・ソロ)」
ひとことで言えばかっこいい曲です。この曲は8分強と長いのですがエイトビートで一定のテンポをずっとキープしてある意味ロックしている?曲なので、ポピュラー音楽を聴きなれた方にもすんなり入っていけると想います。演奏映えする曲なので、ぜひレパートリーにしたい曲です。
16曲目の「<魔笛>の主題による変奏曲」
この曲はソルさんの作品の中でも一番有名かも知れませんね。もちろんこの曲の元、主題の部分はモ−ツァルトさんの作品。この曲には序奏があり、大体あわせて弾かれることが多いのですが、このCDでアンドレス・セゴビアさんは序奏を弾いていません。
このCDに限らずアンドレス・セゴビアさんは、序奏を弾かなかったそうです。
たしかに作曲家の意図をくみ取るとするなら必要だと思いますし、全体の楽曲からしてもあったほうが良いという意見もあります。これがどのような意図でアンドレス・セゴビアさんが弾かないのかわかりませんが、このCDを聴いて「これもありだな!」とわたしは素直に思いました。
明確なメソッドがあるようでなく、好きな曲を好きに弾くことが出来るギターの特権かもしれませんね。