チャーリーパーカーに捧ぐ/ジョー・パス
チャーリーパーカーに捧げたナイロン弦のソロギター作品
1.ジャスト・フレンズ
2.イージー・トゥ・ラヴ
3.サマー・タイム
4.パリの四月
5.エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー
6.ローラ
7.時さえ忘れて
8.イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー
9.アウト・オヴ・ノーホエア(コンセプトT)
10.アウト・オヴ・ノーホエア(コンセプトU)
ジョーパスさんと言えば、ヴァチュオーゾと言うソロギター作品で、ジャズギターのソロギターを確立した人です。もちろんヴァチュオーゾは素晴らしい作品ですがこのCDはそれに匹敵するものです。
基本的にはジャズサックスのチャーリーパーカーさんに捧げるということで、チャーリーパーカーさんがストリングスと競演したアルバムウィズ・ストリングスの曲を中心に選曲しています。
また一連のヴァチュオーゾシリーズとの大きな違いは、使用しているギターが全てナイロン弦のギターと言うことです。それがどこのメーカーのギターかは、はっきりしませんが、以前にジョーパスさんの教則本にオヴェーションのクラシックを持っている写真がありましたので、多分それではないかと思います。オヴェーションには当然ピックアップがついていますが、このCDの音はマイク録音のようですね。
ジョーパスさんと言う人はピックももちろん使用しますが基本的には、指弾きが中心で、多くの曲を指で弾いています。ソロギターを弾くときにはフルアコースティックギターをアンプに通して指弾きするというのが定番のスタイル。しかしこのCDのように、ナイロン弦のアコースティックギターを使用していると言うのは珍しいです。
指とナイロン弦の相性は個人的には抜群だと思います。
ですからこのCDはとてもよい感じで音が奏でられています。またフィンガーノイズもクラシックのそれとは違ってまたジャズらしくて心地良いです。その上名人芸のソロですから悪いわけがありませんね。
しかし、ヴァチュオーゾと比べるとどうも評価は低いようです。でもある意味わたしは、このCDでの演奏の方が完成度が高いように思います。
ギターとしてのテクニックについては多分ヴァチュオーゾの方が素晴らしいと思いますが、ジョーパスさんのソロでいつも残念だと思っていたのが、実は音色なんです。お世辞にもヴァチュオーゾのギターの音色はいい音とはいえませんね。何かペンペンしたような感じがします。とは言ってもダメだしをすると言うことではなく、しいて言えばということですけれど・・・。
これはフルアコースティックギターを指で弾いているためだと思います。
ところが同じ弾き方でもこのCDではナイロン弦を使用していますので、音全体が大変深く、全体に聴きやすいと言うか心地よいのです。これがこのCDの完成度を上げている大きな要因です。
ですからジョーパスさんには大変生意気なようですが、ナイロン弦のソロギター作品をもっとリリースしてほしかったです。
ジョーパスさんはピックも極小さいものを使用していて、ピック弾きの場合でも指で弾くと言う感覚を持っていたそうです。やはり指から伝わることは多いのではないでしょうか。それがナイロン弦と重なって素晴らしい演奏になったのだと思います。
この曲はマスターしたい
1曲目・ジャスト・フレンズ
この演奏はまさに名演奏だと想います。実は初めてジョーパスさんのソロギターを聴いたのがこの曲なんです。ですから思い入れも深いのです。またどうしてもこの曲が弾きたくてコピー譜を探したのですが見つからなくて、仕方なくと言うか、大変でしたけど完コピをしました。
どこが良いかと言えば、めちゃくちゃスウィングしているところです。丁度2分過ぎ位に、ブルースのお決まりのフレーズから段々とビートに乗っていき、そして3分過ぎ位の、同じメロディを繰り返しているバックでコードが2拍ごとに変わっていくところは感動ものです!名演奏です。まさに・・・。
2曲目・イージー・トゥ・ラヴ
結構速いテンポでの4ビートでジョーパスさんの得意技炸裂と言う感じです。しかし、ヴァチュオーゾでのハウ・ハイ・ザ・ムーンのように、単音のパッセ−ジでは無くて、かなり和音とランニングベースが入っているのでよりスウィングしています。
3曲目・サマー・タイム
曲は超有名ですね。多分ジャズをあまり聴かない方もご存知だと思います。ここでの演奏はあるときはフリーテンポで、また、急にインテンポでスウィングしたりする、これもジョーパスさんの定番が炸裂です。ナイロン弦ということもあって、よりブルージーです。