ギター・ルネッサンス/渡辺香津美
多くのゲストミュージシャンと競演。もちろんソロギターも十分聴かせてくれます
1. 無伴奏チェロ組曲第1番より「プレリュード」
2. アクロス・ザ・ユニヴァース
3. メドレー:ジャンゴ〜マイナー・スウィング
4. ウェーヴB・A・C・H
5. 亡き王女のためのパヴァ−ヌ
6. サヨナラ
7. パッシー・ホーム
8. 玉子の時間〜for Takemitsu〜
9.ワルツ・フォー・デビー
10.ペーパー・ブルース
11.マイルストーンズ
12.セ・トゥ・デラ・ミア・モルテ(貴女が私の死の栄光を)
ジャズ界のだけには留まらず、今やソロギターの名手として名高い渡辺香津美さんの初めての完全ソロギターアルバムです。(一部多重録音もあります。)過去におやつなどアコースティックギターの作品はリリースしていますが、完全にソロと言うのは初めての作品です。
楽曲もバラエティに富んでいて、クラシックからオリジナル、そしてもちろんジャズの名曲までさまざま。もともとがジャズギタリストですので、どうしてもインプロヴィゼーション(アドリブ)を派手にしてしまいがちなのですが、このCDではそのバランスが絶妙です。
決して弾きすぎてはいなくて、かといって物足りないかと言えばそうではないですし・・・。クラシックの曲はしっかりと弾いていて、ジャズの曲はしっかりとジャズしています。
ギターもいろいろな種類のギターを弾き分けていてその音色の妙も楽しめます。
このCDの録音が王子ホールと言う所です。録音が大変良いのでもちろん音も良いのですが、アコースティックギターの独特のノイズ、良い意味でのノイズが良く聞き取れます。これが臨場感となってホールの雰囲気を出しています。まさに目の前で弾いてくれている感じがします。
そう言えば以前渡辺香津美さんがインタヴューでギターの音についてこのように言っていたのを思い出しました。
「ギターは弾いている人よりも、哀しいかなサウンドホールの正面にいる人の方がいい音がしているはずです。」
まさに演奏者よりも、その一番いいところが音になっているというCDです。
この曲はマスターしたい
1曲目・無伴奏チェロ組曲第1番より「プレリュード」
いい曲ですね。チェロと言う楽器のための曲なのですが、もちろんギター曲としても有名です。ここでの演奏は見事にクラシカルに奏でています。特に出だしの部分のナイロン弦の音色は本当に綺麗だと思います。
2曲目・アクロス・ザ・ユニヴァース
ビートルズのナンバー。ビートルズの曲は渡辺香津美さんは好んでソロで演奏しているようです。綺麗なアレンジです。
3曲目・メドレー〜ジャンゴ〜マイナー・スウィング
ジャンゴは歴史的ジャズギタリストジャンゴ・ラインハルトのこと。マイナー・スウィングもジャンゴさんの曲です。ばりばりのジャズですので、まさにジャズギターソロのお手本の様な演奏です。このスウィング感はすごいですね。クラシックの楽曲の時にはない荒さがありますが、これがまた良いんですよね・・・。特に4ビートを刻むところは最高です!
9曲目・ワルツ・フォー・デビー
ビル・エヴァンスさんの名曲です。特にギタリストはこの曲が好きな方が多いようで、よくソロで取り上げられます。非常にゆったりとしたテンポでしかもコードもリハーモナイズされていてちょっと変わった雰囲気があります。残念なのはテーマのみと言うことでしょうか。
10曲目・ペーパー・ブルース
こてこてのジャズブルースです。この曲はインプロヴィゼーション全開という感じです。ちろんブルースですから・・・。思わず足でリズムを取ってしまうグルーヴ感があります。
12曲目・セ・トゥ・デラ・ミア・モルテ(貴女が私の死の栄光を)
この曲だけ、アコギのアルペジオとフルアコースティックギターのメロディとソロの多重録音で、デュエットになっています。このフルアコースティックギターの音はいい音ですね。この曲だけはソロギターと言うよりは、ジャズギターとして大変綺麗な演奏です。それでもよく聴くとバックのアルペジオもかなり難しいことを演奏しています。
アルペジオの参考になると言う意味ではソロギターの参考にもなりますね。